elg カーボンファイバー(回収炭素繊維)の使用例

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日本では、まだまだ馴染みのないelgカーボンファイバーですが、elgの本国、イギリスでは、すでに量産車に使われています。量産と言っても、スポーツカーの構造用パネルに↑の写真のように使っています。

F1レーシングカーデザイナーとして名高い、ゴードン・マーレイ氏が率いるデザイン事務所が、elgの回収炭素繊維マットをプレス成形して、パイプフレームと組み合わせて使っています。

東レが 2011年に自動車業界向け発表したコンセプトカーの’TEEWAVE' AR1 (Toray Eco Efficient Wave Advanced Roadster 1)もこの事務所が作成しました。

 

さて、このiSTREAMシャーシは、優秀なスポーツカーシャーシで、イギリスのTVRが最新の量産車に採用しています。

TVRって日本じゃ、見ないよね…」と、思われる方もいるかと思いますが、iSTREAMシャーシは、3年以上前に日本にも上陸しています。

それは2015年秋の東京モーターショーで、ヤマハが発表したSPORTS RIDE Conceptというコンセプトカーもi STREAM3シャーシを基として作られています。エンジン、オートバイのメーカーが、ショーモデルとは言えランニングプロトタイプをシャーシから開発するのは大変です。オートバイのフレームのような軽量なパイプワーク+CFRPパネル材の構成は、同社のコンセプトにも合致していたのでしょう。

基本的に金属パイプフレームで、バードケージを組み、熱可塑性樹脂(PA6)と混紡のCF不織布を熱プレス成形したパネルを接着接合して、構造メンバーの一部として使われています。まさにアルミパネルの代替品として、軽量なTMシートを使っている例です。

↓は、東京モーターショーで展示されていた、SPORTS Ride Conceptのシャーシです。

(GMD、iSTREAM CARBONのロゴが見えますね)

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さっそく、使ってみませんか?熱可塑性CFRTP不織布パネル。熱プレス設備があれば、すぐにCFRPパーツが作れますよ。

TMシートは、800x1000サイズ、1枚からでも販売可能です。

↓は、銘柄まで含め、上記の材料そのものです。

http://www.fukugouzai.com/pre-preg/tm-sheet.html

 

 

CARBISOのネーミング由来

JCM日本複合材マーケットで、最近にご紹介し始めたTMシートは、elgカーボンファイバーのCARBISOのTM(Thermo/Mat=熱可塑繊維とCFの混紡)マットを、熱プレスにより、板状にしたものです。

さて、そのCARBISO(カービソ。英国風だとカーバイソと発音)ですが、日本人の感覚だとあまりカッコイイ響きではないですよね。「カー味噌?」「カー美装?」

一昨日、ポートメッセ名古屋で「自動車軽量化展」にelgカーボンジャパンさんが、出展していて、現場に英国から来られた方が居たので聞いてみました。

「CARBISO。なんて発音するの?何でこんなネームにしたの?」応えは意外とシンプルでストレートでした。「CARBON ISOTROPICITY(等方性)」だそうです。

(金属材料と同じように)「等方性の」カーボン。ということです。

等方性のCFマットに熱可塑性糸を混紡し、それをプレスしたものがTMシートです。

等方性の金属製シート材と同じようにプレス成形できる「熱可塑プリプレグ」シートです。完全含浸していないいわゆるセミプレグ状態なので、金型に投入し加熱すると、熱可塑剤が緩み等方性のカーボンマットは動きやすい状態になります。加熱加圧し、ガラス転移点以下で脱型すると金属プレス成形品のように深絞り製品も製作可能です。加熱冷却装置のついたプレス機があれば、すぐに金属板の代わりにプレス加工できます。

 

部分的な補強や方向性を持たせたい場合は、UDテープやCF織物と同時に成形することも、もちろん可能です。

http://fukugouzai.com/pre-preg/tm-sheet.html

 

 

 

 

 

 

elg カーボンファイバー(回収炭素繊維)

JCM日本複合材マーケットには、これまで幾多のリサイクル品に関する話がありましたが、それを紹介することはありませんでした。それは代表者が大手家電メーカー、自動車メーカーの技術コンサルタントとして契約し、実際の量産メーカーの製品開発の側に立って材料開発を提案してきたからでした。

これまでのものは「安くても、決して手を出せないモノ」でした。

「国内の重工各社が航空機の部品を作るときに出た端材がある」

「名前を明らかにできないが、大手CFメーカーの製造工場で、生産時に出る端材があるので買わないか?」

「リサイクル材だと言っても、CFRPを高温で焼結処理してあれば、炭素繊維だけが残る」

それらは、性能的に低い側で見積もっても、お得感があるように思える…。

 

カーボンを使っての量産品で軽量化をはかるなら、不織布のプリプレグをプレスするか、LFT-D(長繊維)あるいは、短繊維を射出成形で行えば必ず、軽量化性能の向上が見込ます。

これまで、射出成形や金属ダイキャスト成形を得意としてきた成形工場で作る部品の採用を考えれば、材料的にも実績があり成形設備もこれまでのモノを流用するか、成形機を新規導入する場合も、これまでの技術の流用がしやすいためです。

問題は材料コスト。その点を考えれば、バージン材よりも端材やリサイクル材を使うのが有利です。連続生産された炭素繊維をあえて切断するよりも安い。リサイクル材を使いたい要件です。でも、これまでのリサイクル材の話には、乗れない要素が決定的にありました。それは「品質保証」です。

量産工場であれば、製造者責任を問われる商品を製造販売している会社であれば、そのトレーサビリティと、その保証された品質に基づいて、製品を設計し、プロダクトにします。ですので、いくら有名な商社から「リサイクル・カーボンあります。安いですよ」と勧められても、誰かが品質保証をしてくれない限り、量産材料には使えなかったのです。それは、その後のLCAにも大きく影響します。

 

「ELG回収炭素繊維」は、非鉄金属のリサイクル材では世界No.1のELG社(英国)が、特許技術の回収システムで分別、回収し、品質保証のペーパーを発行している回収炭素繊維です。単に「リサイクル炭素繊維」とひとまとめにせず、どういった由来(炭素繊維の流通経路)のCFであるか、繊維の弾性率によって4つ(標準、中弾性、高弾性、超高弾性)に分類し、独自の技術により中間材料の様々な姿にして、商品化に成功しています。

 

JCM日本複合材マーケットが、自信をもってお勧めできる量産用のカーボンです。

 

 

 

株式会社 日本複合材 登場!

早いもので「JCM日本複合材マーケット」は、サイトオープンから10周年になります。
家電メーカー向け材料開発、成形品の供給工場の調査研究から、炭素繊維メーカー、中間材料メーカー、海外成形工場でのトライアルを通じて得た、熱硬化性CFRPおよび熱可塑性CFRTPの材料、コンポジット部品の可能性を紹介してきました。

JCM日本複合材マーケットは、これまで、「コンポジット・デザイン事務所が運営する材料販売サイト」として運営してきましたがサイトオープン10周年を機に、株式会社 日本複合材として法人化しました。

今後とも、よろしくお願いいたします。

http://www.fukugouzai.com/company_profile.html

 

 

 

 

2018年は、いろんなものが動きそうな気配

新年あけましておめでとうございます。

昨年の後半は新規プロジェクトが複数立ち上がり(うち一個は年末を待たずに消滅しましたが)、またSAMPE JAPAN様より展示委員会、広報委員会に夏から呼んでいただいて、急遽、JISSE-15(Japan International Sampe Symposium & Exhibition) の運営、デザイン・ディレクションを担当することとなり、多忙を極めた年でした。

本日から、東京ビッグサイトで、オートモーティブワールド(リードエキシビションジャパン主催)が開催されます。展示会に先立って、関東地方にある協力工場複数社に朝から回ってきて、情報交換してきました。

また、午後からは準備注の第8回クルマの軽量化技術展の展示会場を覗いてきましたが、昨年11月末のSAMPE JAPANよりも、出展者が多かったですね。

まだ、きちんと展示されていないし、作業者の方々の邪魔にならないように立ち止まることはしなかったので、詳しくは見れませんでしたが、外国企業の出展が目立ったように思いました。

明日、展示会場で改めて、今日の下見で気になった会社を重点的に取材したいと思います。

先ほどまで、旧知の同業者たちと情報交換していました。長いディナーになりました。断定的なことは言えませんが、複合材料の業界は、活況を呈してきています。

その背景にはCFRP部品ユーザー、ユーザーニーズが拡大しています。材料開発、成形プロセス開発はひととおり開発時期を超え、安定して使えそうな技術(熱硬化系)は、具体的に製品を作っていて、ヒマなCFRP成形工場はないようです。

熱可塑系の設備投資の伴うモノも、ヒート&クールやハイブリッド成形の設備が工場に入っていますので、そろそろ成形トライアルの次の時代が来そうです。

楽しみなことです(笑)

 

 

 

 

お詫び

これまで、忙しさにかまけて、長らく更新できていませんでした。

…にも関わらず、けっこうなアクセスをいただいて、当ブログを閲覧していただいていることが、アクセス統計を見て知り、とても申し訳なく思っております。

あらためて、新しい記事をアップロードしていきますので、よろしくお願いいたします。

自動車向けコンポジットの最新技術セミナー

 

SAMPE JAPAN コンポジット委員会 開催のご案内

コンポジット委員会 第64回研究会を下記の通り開催することになりました。日本を代表する炭素繊維メーカーの方々に自動車用途をはじめ利用拡大が期待されている炭素繊維複合材料やそのリサイクルに関してご講演を賜るとともに、近年注目を集めているハイサイクル成形プロセスに関するご講演をお願いすることが出来ました。また、今回、特別に、米国より帝人グループのCSP社から副社長をお招きし,GF-SMCに関するご講演をお願いしております。

是非ともご参加いただき、積極的なご討論のほどよろしくお願い申し上げます。

 

日 時:             2017年8月28日(月)13時10分〜19時00分

場 所:             同志社大学今出川校地 室町キャンパス)寒梅館 地下A会議室

              〒602-0023 京都市上京区烏丸上立売下ル<13:10-13:20>

 

開会の辞 コンポジット委員会 委員長      同志社大学 田中和人

 

1.「TCA Ultra Lite for Vehicle Lightweighting」

Continental Structural Plastics(CSP, A Teijin Group Company), Vice President Dr. Mike Siwajek

 

2.「炭素繊維複合材料の開発 自動車用途を中心に」

三菱ケミカル㈱ 豊橋研究所 高機能成形材料研究室 主幹研究員 杉浦 直樹 氏

 

3.「新規炭素繊維複合材料の紹介とリサイクル」

東レ株式会社 ACM技術部 産業・スポーツ技術室 室長   石橋 壮一 氏

 

4.「クリモトコンポジットセンターにおける、ハイサイクル成形プロセス(Carbon-LFTD/ハイサイクルRTM)のご紹介」

株式会社栗本鐵工所 コンポジットプロジェクト室 事業企画グループ 釜野 博臣 氏

 

5.総合討論

 

自動車用途での量産コンポジットを、ご検討されている方は必見の研究会セミナーです。

SAMPE(先端材料技術協会)会員の方でなくても聴講可能です。先着100名なので、

申し込みはお急ぎください。

申込書PDFはこちらから