驚きの複合材料

ご存知の方もおられるとは思いますが、JCM日本複合材マーケットは現在は、株式会社日本複合材が運営していますが、以前は株式会社マジックボックスJPという複合材料を専門とする工業デザイン事務所が運営していました。ですので、このブログのライターは、そのデザイン事務所の社長でもあります。

普段は、中間材料メーカーの市場開発や技術コンサルティングなど「この材料を使ってどのようなモノができるか、人間社会にどのようにお役に立てるか」などを提案し、試作し、具体的なプロダクトにしていくか、というようなことを生業としています。

JCM日本複合材マーケットは、材料販売サイトという形をとっていますので、基本的には「世間で売っている材料」「(一般的にはあまりないけど)入手可能な材料」をご紹介していますが、時にその想定を大きく上回る「とんでもないもの」をカーボンファイバーに求めてこられるお客様が居ます。

現在、その開発プロジェクトは進行中なので、こちらのサイトでは具体的なことは触れることができませんが、凄いものができ始めています。

CFRPのことを語るときに「1+1=2以上の性能」などということがありますが、

「1+1=A(数字以外のもの)」になるという話です。

このプロジェクトにお付き合いするようになって、これまでの複合材製品の(広義の)デザインの基準が変わりました。炭素繊維CFRPに関する考え方、設計のあり方にも大きな影響が出てくるものと思います。

CFRPは、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂をマトリックスにしたもの、ナイロンやポリカをマトリックスにしたCFRTP以外にも、ものすごく広いCFRX(炭素繊維で強化された何らかの物質)があり、それが人間社会を支えているのです。

やっぱり、複合材って、広くて、深くて、面白いですね(笑)

 

 

カーボン・ファブリック(炭素繊維織物)について

ブログの更新をしないといけないなぁ。と、思いながらも、結構忙しかったり、目の前にある「とても面白いハナシ(案件)」は、守秘義務など、いろいろな制約があってBlogに出すわけにもいかないし…。で、過去にどんな記事を書いているかを見直すと、意外と、基礎的な部分について紹介していないことを発見しました。

 

カーボン・ファブリック(炭素繊維織物)のことです。一般的に「カーボン柄」と認識されているのは「3K平織」と「3K綾織」を指します。最近では「綾織」の方が「カーボン柄」と称される事が多くあります。

さて、その「3K」ですが、Kはキロ=1000を表しています。ですので「3K平織」は

「3000本の束(トウ)の炭素繊維を平織(Plain Weave)したもの」という意味です。

一般的には「3K平織200g/㎡」と表示されるのは、㎡あたり200gになるように織った織物(インチ角あたり、経糸12.5本x緯糸12.5本)が、通常、流通しています。

 

平織と綾織の違いは、「織柄の違い」と思っておられる人も多いと思います。「やっぱり、綾織りの方がカッコ良いね!」とか仰る方もいますが、本来は、用途が違います。

平織は、まさにプレーンは織物で、経糸緯糸が一本ずつ交差している連続です。それにより、縦と横の糸は釣り合っていてフラットな平板等の製作に適しています。

綾織(2/2綾)の場合、1本飛ばしで、織っています。ですので、綾織りの方が、糸が動きやすく、立体成形に適しています。

 

JCM日本複合材マーケットでは、綾織りでも、パウダーコートやサイジング処理をして「動きにくい綾織」をご提供することもできますし、平織でも、㎡あたりの重量を少なくして、「しなやかに沿いやすい平織」をご提案することも可能です。

 

カーボン・ファブリックについては3Kだけでなく、6K、12Kなど、ご用意しております。お気軽にお問合せしてください。

 

 

 

日本最大の技術データベースサイト

このブログをご覧になっておられる方は「CFRPで量産を検討している」「カーボンの材料情報が気になる」という方ではないかと思います。

これまでも弊社は家電メーカーや自動車メーカーの複合材料開発、中間材料メーカーのコンサルティングをしてまいりましたが、いろんな場面で「そろそろ量産の検討かな」という場面が見え隠れしてきました。JCM日本複合材マーケットでも、以前よりも具体的な材料(および成形品)のお問合せが増えてきました。

「生産技術は、ある程度確立したので、次のステージは実際の商品に落とし込んでいくことを想定してコスト重視で材料の話をしたい」という感じでしょうか。

日本国内にある製造設備で、仮に大幅な改造を加えたとしても、国内でCFRP、CFRTPで構造材で量産できる方法は限られます。

その観点で、JCM日本複合材では、量産を考慮したCF中間材料については、その手配が完了しています。量産を検討する上で、コンペティティブなプライスでの提供は当たり前です。気になることがあれば、何なりとお問い合わせください。

さて、昨年のおわりに日本最大の技術データベースサイトIPROS様から「カーボンのものづくりが日本国内でも動き出しています。会員企業様でもCFRP加工、CFRTPを使った成形技術をお持ちの会社はおられますが、CFRPの材料を供給する会社の情報がまだ少ないので」とお声掛けいただき、トライアルを行なってきました。

この1、2か月の間に、IPROS経由でお問合せをいただいて、実際にお取引実績が発生しました。熱心な営業サポートスタッフさんにその話をすると驚いておられました。

資料をいくつか見てもらうと「こういった情報をIPROS会員様は必要としているんです。早くアップロードしてください!」と言っておられました。

まだ、始めたばかりで、コンテンツは充実していませんが、IPROS様のご指導もいただいて、お客様のCFRPモノづくりの材料情報をわかりやすく、ご案内していきたいと考えています。お楽しみに。

 

 

premium.ipros.jp

基本に帰って、俯瞰して見てみる

新年あけましておめでとうございます。

こちらのブログはなかなか更新できなくて申し訳なく思っています。ところが、アクセスを見てみると、少しづつではありますが、ご覧いただいている方が増えていて、きっと「新しいコト何か言っていないか?」と覗いていただきながら、更新されておらずがっかりさせてしまっていると思います。

さて、先日、自働車軽量化展・Automotive World 2019に行ってきました。自働車の軽量化は普通に考えても「善」「良いコト」で、特に自動運転やパワーユニットが変わりゆく中で、自動車の軽量化に対する取り組みは多岐にわたり、盛況な展示会でした。

その中で、CFRP部品を展示している材料商社さんのブースで、その展示を見ていると、ゴルフのヘッドのような、中空の部品があり、それを熱心に眺めている技術者と思しき男性が、ブースの若い説明員と話している隣に居ました。

訪問客「これは、どうやって作っているの?どの材料を使っているの?」

説明員「材料は、弊社で取り扱っているCFRPの成形材料です」

訪問客「どうやって作るのコレ?」

説明員「…私は、ちょっと、わからないので聞いてきます」

少しして

説明員「弊社の協力会社が特別な方法で製造しています」

訪問客「だから、どんな材料を使って、どうすればこれが作れるの?」

もう一度、誰かに話を聞いてきて

説明員「特殊な製法で、それは企業秘密なので言えないそうです」

訪問客「なら、どうやってこの材料を使うんだよ!」

と、訪問客は怒って、手にしていた展示品を置いてブースを離れました。たぶん説明員が聞いた相手も解らないからいい加減な返事をしたのでしょうか?

「あらら…」と思って、ちょっと気の毒だったので、ブースを去った人に、少し離れた場所で声をかけ、

「先ほどの製品は、何も特別なモノではなくて、熱硬化性エポキシプリプレグを使った内圧成形という方法で、熱プレス成形の派生技術です。新しい技術ではなく、人手がかかるので日本では、その製法はほとんど使われませんが、テニスラケットや自転車のフレームを製造する基本的なCFRPの成形技術です」と教えてあげました。

内圧成形が企業秘密とは、どれほど特別な会社なのでしょうね?(笑)

 

前置きが、長くなりました(え?これが前置き?)

説明員さんが、自社が展示しているモノさえも説明できないのは問題だと思いますが、自分が見てわからない製造技術のための材料を選ぶ必要はありませんよ。と、言いたいわけです。

このブログをご覧になられている方は、たぶん「CFRP、CFRTPの材料や生産技術に興味はあるが、どのような材料から手にすればよいか検討しているところ…」という方が多いのではないかと思います。

その場合、お薦めなのが「自社工場の設備で製造できるか?」「自社商品を買ってくれているお客様がそれを必要としているか?」を基準にして、材料を選択されることです。けっして「どうやって作ったかわからないもの」をこれから始めても、きっとモノにはなりません。「ここにヒーターを追加して…」とか「刃物をCFRP用にすれば…」のように、これまでの自社工場でのモノづくりの延長線上で考えられる方法が量産コンポジットのドアを開くと思います。自社や協力工場の設備や人員など、少し俯瞰して見て、自社の強みを生かしたカタチで新しい材料や生産技術を見直してみてください。

今年は、どんな会社がどういうモノを紹介してくるのでしょうか?楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

激動の2018年でしたね

日々の業務に追われて、なかなか更新ができていないのに、アクセス数をチェックすると、以前に増してこのブログを読んでいただいているかたが居られることがわかります。コンスタントに更新できず、申し訳ありません。

さて、あっという間に気が付けば年末です。

年初に「2018年はイロイロ動きがありそうな予感」とかコメントしていましたが、今年は、いろいろありましたね。リアルに量産に向けた動きが加速したように思います。

このブログの更新ができないぐらい、ドタバタやっていましたので、弊社が関わっている具体的な話はご紹介できる状況ではないので割愛しますが、日本の製造業の技術開発の実力はやはり素晴らしいと思います。

台湾、中国の方が量産はできているとか、ドイツを中心としたヨーロッパのコンポジット生産技術は凄いとか言いますが、日本の自動車産業で鍛えられたエンジニアが、真剣にCFRPを考えるとこんなコトになるんだ…と、感心するものをいくつか見ました。

量産コンポジットの生産技術は、金属や樹脂で量産をした経験を生かして、それを材料の特性を考慮してモノにすることで、海外では類を見ないコンポジットの量産技術が開発されています。

ただ、それはエンジニアの手作りクラフトマンシップではなく、量産を考慮する場合は必ず工作機械、ロボットのティーチング機能により、繰り返し生産できるものです。それなりの開発コストがかかりますので、中小企業ではなかなか手の届かない世界であることも事実かもしれません。

 

9月に書いたブログで、ヤマハ発動機は4輪参入を断念したことを発表しました。2015年の東京モーターショーに出品されたヤマハが市販を目指していたスポーツカーのプロジェクトは終了し、開発チームは解散したと日経電子版は伝えています。

断念の要因の一つに、ゴードンマーレ―事務所の汎用シャーシiSTREAMを使っていたことがあるとされていました。詳細な事情は当事者でないとわからないし、発表できない事情もあると思いますが、少なくとも日本のモノづくりとは、流儀が違うので、商品にするときに違和感があったのでしょう。