ATL時代の準備

ATL(Automated Tape Laying=自動テープ積層)あるいは、ATP(Automated Tape Placement=自動テープ配置)という言葉は最近聞かれる機会が多くなってきたのではないでしょうか?

こちらのブログにたどり着かれて、量産コンポジットを研究開発されてい方なら、説明するまでもないと思いますが、「なんだそれ?」と思われた方は、量産コンポジット技術では、少し重要な部分なのでお付き合いください。

ATP、ATLのこのAの部分が現代の量産モノづくりとのインターフェイスになる重要な部分です。これまでのCFRPモノづくりと決定的に違う部分は「Automated」か「職人の技」かです。

これまでも、CAD設計は当たり前。CAEで解析して、その形状を金型に反映して、その材料配向に従って、カッティングプロッターにより正確にカットされたプリプレグを金型に配置し、オートクレーブ(加熱加圧釜)で、あるいは熱プレスで成形し、バリをとって仕上げる。これが現代のCFRPの成形プロセスです。少し前なら、カッティングプロッターではなく、型紙にあわせてハサミかカッターで材料を切り、プリプレグではなく樹脂も合わせてハンドレイアップ成形する「職人の技」です。現在もアフターマーケット商品であれば、設備コストが小さいので「多品種少量生産」に向いたハンドレイアップ成形が市場要求の数量と生産数量を調整すれば、この「職人の技」が喜ばれます。

 

BMWがiシリーズをデビューさせた頃は、炭素繊維を織物にして、金型内にプリフォーム加工したカーボンファイバーを金型にインサートし、高圧で樹脂と硬化剤をぶつけ化学反応を安定させた効果速度の速い液体状のレジン(エポキシ樹脂)を金型に流し込むHP-RTM成形が、人の手がかからず、自動車業界のモノづくりに適合していると、本命視していましたが、BMWの想定ほど「CFの量産による材料価格のコストダウン」が図れなかったこともあり、HP-RTMは大衆車には使われず、高級車種の天井やボンネットに横展開がなされています。日本車でもレクサスやGazoo Racingには、同様の採用が広がっています。 

 

さて、ATP、ATLです。本来は航空機部品を「人間以上に正確に、安定的に、休みなくずっとプログラムに従って積層させる」ために開発された技術です。レイアップの成形速度は速くなり、ロボットの先端にある成形のために必要なユニットは小型化され、高速化が進んで…そろそろ、自動車の製造現場で働いている仲間(溶接やら組み立てをしているロボット)と近いスピードで仕事ができるようになってきています。

近年のATPの考え方は、CFの引張強度を最大限に生かして、できるだけ少ないCF量(=炭素繊維の価格が下がらないので)で効果的に金属プレス製品や、樹脂部品を強化する方向で動いています。スポーツ・アスリートが、けがの防止や、傷んでしまった部位に負担をかけないようにする「テーピング」のような考え方です。ほとんどの場合はCFUDの薄物(開繊)テープを使い、「効果的な部分に貼りこむ」というニュアンスの溶着や接着接合が開発されています。マトリックス樹脂は、個々の成形品によって異なり、熱可塑性CFRTPテープ、熱硬化性(エポキシ)プリプレグテープを、必要な位置に積み重ね、硬化させて定着させる手法がとられます。

 

JCM日本複合材マーケットは、国内外のCFUDテープをお客様のニーズに合わせて、材料をご提案し、巻き芯の大きさ、テープ長さ、テープ幅を整えた、テイラードマテリアルとして、UDテープをご提供しています。

また、すでにいくつかのCFUDテープが、お手元にあって、どうやってATP用のテープにすればよいかお悩みの方にも、スリット加工作業だけの受注も承っています。

まずは、テーピング用のテープから準備しましょう。

http://www.fukugouzai.com/prepreg-tape/index.html