先端材料技術展 SAMPE JAPAN 2021 ご来場ありがとうございました。

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8月の終わりに告知した「先端材料技術展 SAMPE JAPAN」展示会も、盛況のうちに終わりました。8月に申し込みをしたときは、まだリアル開催はどうなるかわからない状況でしたが、コロナ感染対策も万全にして、たくさんの来場者があり、この1年半、お会いすることのできなかった業界の皆様とも楽しく交流ができました。

株式会社日本複合材として初出展となる今回は、いくつかの目標・目的をもって出展しました。

1.ネットワーキングの重要性を再確認し、JCMが今年の初頭に加盟したComposites Unitedの紹介をし、Face to Face meetingを大切にするために、小さいながら会議室形式にしました。

2.展示するモノは、量産されている熱硬化のCFRPホイールと、量産の準備が進んでいる海外のフロントエンドモジュールにしました。

Composites UnitedのEU本部の了解を得て、CUコンテンツの紹介とCUの入会案内を現地で行ったところ、大手材料メーカー研究開発本部、有名なCFRP成形のスペシャリスト、海外にも出荷実績のある成形機器メーカーから「CU加盟には、大変興味がある」との反応をいただきました。これらの企業がネットワークに入っていただくと、CUのアジアエリアでの勢力図が変化していくものと期待しています。

展示品については、CFRPホイールは、よく来訪者の目に止まったようですが、意外とCFRTPハイブリッド成形のフロントエンドモジュールは、気付く人が少なかったと思います。これについて質問してきたのは、先端材料技術協会で、コンポジット委員会でご一緒させていただいている方や、すぐ前でオートメーション技術を紹介されている企業群の社長さんだけだったと思います。あえて「これは、こんなに凄いサンプルなんですよ」と説明していなかったのですが、海外の国家プロジェクトで実際にトライアルが行われていた自動車部品の型を使って、ある日本の材料(CFRTPテープトCFRTPペレット)に置き換えてトライした製品でした。ある中間材料メーカー様のご厚意でJCMブースで展示していましたが、展示会の後は、その中間材料メーカーの研究所の収蔵庫に納まりました。海外では実際に大型部品のCFRTP量産が始まるという証左でした。

それ以外にも、驚きと素晴らしいネットワーキングが始まる、素晴らしい展示会でした。

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CFRPリサイクル LCA考察

鉄鋼メーカーからの「もの言い」がついて、「鉄鋼の10倍の製造時CO2排出量のカーボンファイバーを使ったCFRPエコロジーではない」などという風潮が自動車業界で噂されているそうです。「だからセルロースナノファイバーだ!」って、走りかけてるなら、ちょっと待ってください!

その、熱に弱いセルロースナノファイバーは、どうやってリサイクルするつもりですか?ワンウェイで使い捨てなら、環境に良いわけありません。燃やしてしまうなら、それは環境保全に役立たない。

カーボンファイバーも使い方次第、リサイクルの方法次第で、鉄鋼よりも良いLCA値をたたき出すことが可能です。

その技術は、空想ではなく、現実に実証実験で答えが出ています。

 

よーく考えてください。世間の(日本国内の)風潮や、日本語でまことしやかに書かれているSDGsや環境商品のこと。その話、本当に信頼ができる話ですか?

 

カーボンファイバーが、鉄鋼よりも10倍悪者って、おかしくないですか?信じますか?

世界中で炭素繊維工場が増設されフル稼働で生産しても需要に供給が追い付いていない現実は説明できますか?バージン材のCFは、世界的にショーテージしています。次々に軽量構造材を必要とする業種が現れています。

それほどの消費があって、CFRPのリサイクル技術が改良されないわけがないでしょう?ならば、まじめにCFRPリサイクルについて考えてみましょう。

 

なんでもかんでも新品の高弾性カーボンファイバーを使ってモノを作るわけではありません。飛行機の機体や自動車車載用の水素タンクなどの高水準の強度と精度が要求される商品は、新品のカーボンファイバーを使うべきです。しかし、プレス成形したり、射出成形したりする用のCFは、丁寧に処理されたリサイクル材を使って、量産に向いた射出成形用のペレットやチョップドファイバー、不織布を使って「量産体制」にする。

 

その先は、射出成形ではすでに実用化ができている「リペレット」技術を使えば、そのカーボンファイバーは何度でも完全ループさせることができ、その材料の製造時CO2排出量は、鉄鋼を下回ることができます。

上記は「夢物語」ではありません。CFRP廃材からペレット製造までをワンストップで実証実験が完了しています。

JCM日本複合材マーケットがご案内いたします。

 

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需要のあるところ

COVID-19パンデミックが始まる前、2019年のパリ開催のJEC WORLDに行った時のこと。ある日本人の方が「ヨーロッパではこんなに材料や設備、工場があるのに、日本は遅れている。日本の環境では、なかなかヨーロッパに追いつくことはできない」と嘆いておられる人がいました。

私はその時に違和感がありました。

「この人は、たぶん追いつくことはないな…」そう思いました。需要のあるところにしか工場はなく、その工場が使える材料でないと材料は売れません。

さて、日本にも軽量構造体の需要はあります。具体的なモノの列挙はしませんが、

例えば「空とぶタクシー」は、2025年の大阪万博までに営業運転を開始するそうです。

(株)SkyDriveの福澤社長は、「現在の機体は数千万円かかりますが、2030年ごろには、機体の価格を200万円代にしたい」と先月テレビのインタビューでお話でした。

高性能なDJIのドローン10機で、人間を吊り上げれないか?と考えれば、それぐらいを目途にしてもなんとかなるような気がします。

では、その部品は誰が作るんだ?現在テスト飛行している空飛ぶタクシーの試作機のほとんどは、レーシングカーの部品を製造してきた工場で、航空機の部品製造の認証を撮った工場で成形されています。しかし量産需要は賄えません。

需要は確実にあります。では、誰がその工場を作るの?どんな成形技術で?材料で?

そろそろ日本流のコンポジットものづくりが動くと思います。

 

SGDs対応技術展@大阪産業技術展

JCM日本複合材マーケットとしての出展ではありませんが、カーボンファイバーリサイクルでいろいろとご指導をいただいている、(株)富士加飾(fuji-design)様が、大阪産業創造館で開催のSGDs対応技術展に出展されます。弊社も微力ながらお手伝いさせていただく予定です。

大阪産業創造館 9月16日(木)13:30-17:00(2部制)<br />
9月17日(金)10:00-16:00(3部制)開催 【SDGs対応技術展2021】

 

【SDGs対応技術展2021】「持続可能」がテーマのものづくり技術や製品が大集合!|イベント・セミナー申込画面|大阪産業創造館

SAMPE Japan 先端材料技術展2021に出展します

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2021年12月1日〜3日、東京ビッグサイト西ホールで開催される「SAMPE Japan先端材料技術展2021」にリアル出展を予定してます。当日までに出展の安全が確保できるようになれば良いですね。
会場でお会いしましょう!

 

biz.nikkan.co.jp

 

 

炭素繊維の価格動向

日本経済新聞によると

東レ炭素繊維の販売価格を新規契約分から2割程度値上げする。主原料価格の高騰とコンテナ不足などに伴う物流費の上昇でコスト負担が増している。新型コロナウイルス禍で航空機向けの需要は低迷するが、脱炭素社会への対応で大型化や新設が相次ぐ風力発電機向けは伸びている。2017年以来およそ4年ぶりの一斉値上げで採算の改善を急ぐ。炭素繊維の販売価格を新規契約分から2割程度値上げする。主原料価格の高騰とコンテナ不足などに伴う物流費の上昇でコスト負担が増している。新型コロナウイルス禍で航空機向けの需要は低迷するが、脱炭素社会への対応で大型化や新設が相次ぐ風力発電機向けは伸びている。2017年以来およそ4年ぶりの一斉値上げで採算の改善を急ぐ。」

だそうです。

現在、世界的に風力発電の需要が高まり、日本のメーカーだけでなく、海外メーカーでも炭素繊維の需要が供給を超えているそうで「年内の生産分は、先月までに売り切れました。今後の注文分の納品は2022年に入ってからになります」と聞きました。

 

でも、慌ててはいけない。これまで、地震があったり、飛行機の需要が高まったりと、何度も「炭素繊維の値上げ」の話は聞いてきました。「価格の高騰」は、何度も経験してきました。何年かのサイクルで値上げ話があります。いつもそう。市場経済なので、いつか下がります。上がり続けることはありません。

量産プログラムに即、まとまった量が必要な場合は難しいですが、その前段階の開発トライアル用なら、いつでも何とでもできます。気になっている人はお声掛けください。