刀を研ぐ時

COVID-19の影響で、3月上旬のJEC WORLDに行けなくなって以降、世界各地でロックダウンや緊急事態宣言が出され、身動きがとりにくい時代です。世界中でSYAY HOMEと言っていますから、こういう時は他人とは会わず、自身やその内面と向かい合う時かなと思います。弊社の場合、コンポジット・デザイン事務所として、これまで進めてきた国をまたぐプロジェクトは幸いなことにリモートワークで事足りていて、現地のエージェントが情報やモノを逐一送ってくれます。人の移動は制限されていても、注文した商品は、それほどの遅延なく行き来していますので、問題ではありません

 

世界的なSTAY HOMEの時って、貴重な時間だと思います。私のこれまでの人生の時間ではなかったことですし、歴史的にもなかったことのようなので、その過ごし方で大きな違いが出てくるのではないと考えます。特に先端複合材料技術、高強度軽量構造体の成形技術は、これまでの10年間でも、ものすごいスピードで進化しているフィールドなので、JEC WORLDのような「世界的な先端材料技術の情報交換の場」が、1年以上クローズになるとしたら、どうなるでしょうか?人の行き来が少なくても、ローカルで個々の開発は進みます。

樹脂を開発している人、繊維を開発している人、成形プロセスを考えている人、軽量構造体の応用開発を進めている人…。コンポジットに係わるいろんな業種の人たちが、個々に研究していて、その成果をなかなか知らせることが無いとしたら、来年開催されるであろうJEC WORLDは、とんでもなく面白い(興味深い)展示会になるのではないでしょうか?

 

振り返って、私の場合、本来はJEC WORLDで、ある「驚きのコンポジット成形品」を準備しておられた会社と「自動車業界向け量産にはコレ」という材料メーカーさんと一緒に行動する予定だったのですが、その出品物はお蔵入りになり、発表せずに開発が続きます。そんな「アッと驚かせる自信あったのになぁ…」と思っている出展者は我々だけではないでしょう。今回、見ることが無かったライバル(仲間?)たちの最新作も気になりますが、そんなことよりも、自ら取り組んでいるプロジェクトの完成度を高めることに集中しましょう。

今はきっと、「いざ鎌倉!」に備えて、刀を研いでおく時なのだと思います。