基本に帰って、俯瞰して見てみる

新年あけましておめでとうございます。

こちらのブログはなかなか更新できなくて申し訳なく思っています。ところが、アクセスを見てみると、少しづつではありますが、ご覧いただいている方が増えていて、きっと「新しいコト何か言っていないか?」と覗いていただきながら、更新されておらずがっかりさせてしまっていると思います。

さて、先日、自働車軽量化展・Automotive World 2019に行ってきました。自働車の軽量化は普通に考えても「善」「良いコト」で、特に自動運転やパワーユニットが変わりゆく中で、自動車の軽量化に対する取り組みは多岐にわたり、盛況な展示会でした。

その中で、CFRP部品を展示している材料商社さんのブースで、その展示を見ていると、ゴルフのヘッドのような、中空の部品があり、それを熱心に眺めている技術者と思しき男性が、ブースの若い説明員と話している隣に居ました。

訪問客「これは、どうやって作っているの?どの材料を使っているの?」

説明員「材料は、弊社で取り扱っているCFRPの成形材料です」

訪問客「どうやって作るのコレ?」

説明員「…私は、ちょっと、わからないので聞いてきます」

少しして

説明員「弊社の協力会社が特別な方法で製造しています」

訪問客「だから、どんな材料を使って、どうすればこれが作れるの?」

もう一度、誰かに話を聞いてきて

説明員「特殊な製法で、それは企業秘密なので言えないそうです」

訪問客「なら、どうやってこの材料を使うんだよ!」

と、訪問客は怒って、手にしていた展示品を置いてブースを離れました。たぶん説明員が聞いた相手も解らないからいい加減な返事をしたのでしょうか?

「あらら…」と思って、ちょっと気の毒だったので、ブースを去った人に、少し離れた場所で声をかけ、

「先ほどの製品は、何も特別なモノではなくて、熱硬化性エポキシプリプレグを使った内圧成形という方法で、熱プレス成形の派生技術です。新しい技術ではなく、人手がかかるので日本では、その製法はほとんど使われませんが、テニスラケットや自転車のフレームを製造する基本的なCFRPの成形技術です」と教えてあげました。

内圧成形が企業秘密とは、どれほど特別な会社なのでしょうね?(笑)

 

前置きが、長くなりました(え?これが前置き?)

説明員さんが、自社が展示しているモノさえも説明できないのは問題だと思いますが、自分が見てわからない製造技術のための材料を選ぶ必要はありませんよ。と、言いたいわけです。

このブログをご覧になられている方は、たぶん「CFRP、CFRTPの材料や生産技術に興味はあるが、どのような材料から手にすればよいか検討しているところ…」という方が多いのではないかと思います。

その場合、お薦めなのが「自社工場の設備で製造できるか?」「自社商品を買ってくれているお客様がそれを必要としているか?」を基準にして、材料を選択されることです。けっして「どうやって作ったかわからないもの」をこれから始めても、きっとモノにはなりません。「ここにヒーターを追加して…」とか「刃物をCFRP用にすれば…」のように、これまでの自社工場でのモノづくりの延長線上で考えられる方法が量産コンポジットのドアを開くと思います。自社や協力工場の設備や人員など、少し俯瞰して見て、自社の強みを生かしたカタチで新しい材料や生産技術を見直してみてください。

今年は、どんな会社がどういうモノを紹介してくるのでしょうか?楽しみです。