情報発信の難しさ

弊社は代表者の経験と、その経験にともなう人脈の広さから、特に複合材料の市場動向の「今」をとらえたコンサルティングサービスを行なっています。

先日、SAMPE Japan コンポジット委員会研究会でJEC WORLD 2023の報告会を行ないました。SAMPE Japanコンポジット委員会が、ホーム会場として、いつもお世話になっている同志社大学・寒梅館地階のホールで行われましたが、出席者約50名のうち、ほぼ半数の方は4月末のパリの現地に行っていた方々でした。研究会は登壇者が約1時間の持ち時間でそれぞれの観点から見聞したJEC WORLD2023の報告がなされましたが、ないようにほぼカブリは無く、JEC Innovation Award、オートメーション、オートモーティブ&モビリティそして、主催者JECから、今回の展示会の数字的な報告がなされました。

登壇者それぞれの立場から見えるJEC WORLDはこれほど違うのかがわかる、有意義な研究会だったと思います。

 

さて、日本ではサスティナブルな構造材料として、鋼材があり、アルミニウムが絶対のように言われています。テレビCMでもUACJ様は、あたかも自動車、鉄道のみならず、飛行機や次世代の乗り物は「すべてリサイクルできるアルミニウムの時代が来た」と言わんばかりです。

www.uacj.co.jp

ホントに、そうでしょうか?

バブル期に日産自動車が「きっと新しいビッグカーの時代が来る」と言って広告すると、ダイハツは「ホントにそんな時代が来るでしょうか?」言っていましたね。

その後の日本では、軽自動車が登録台数で普通車を追い越しました。

 

CFRPはリサイクルが難しい。新品の炭素繊維の製造時CO2排出量は鉄鋼の10倍だと言われ攻撃されていますが、アルミニウムも新品をボーキサイトから生成する場合は莫大な電力が必要です。(昔はそれを問題にしていました)

アルミはリサイクルが何度でもできる。を売りにしていますが、実際のモノづくりの現場、特に航空機に使われるジュラルミンをはじめとする高強度アルミニウム合金は、銅やマグネシウムなどの混ぜ物が多く、リサイクルされません。少なくとも、ジュラルミンを溶解してもジュラルミンには戻りません。

では、CFRPがリサイクルできる材料であれば、どうでしょう?新品の炭素繊維と同等の引張強度、弾性率を発現するCO2排出量が鉄鋼と同等の炭素繊維が供給されるとどうなるでしょうか?CFRPのリサイクルは、電炉に廃材を投げ込むだけではできません。確かに難しい、高度な技術が必要ですが、すでにその技術は確立されています。

 

なんといっても、CFRP/CFRTPの強みは、その比重・比強度です。同じ体積で、同等の強度を有する場合、CFRPジュラルミンよりも40%の軽量です。同じ重量であれば、160%の体積を持つことができます。

 

日本では、鉄道は、読んで字の如く、まさしく鉄で作られています。しかし、合理的な欧米ではCFRP車両の開発がどんどん進んでいます。中国では、長距離を走る高速鉄道CFRP化されています。「中国の新幹線は日本の技術のパクリだろ、取るに足らない技術力だ」とバカにしたい人も居るでしょう。でも、残念ながら、車両の軽量化研究は、日本の比ではありません。すでに、大きな差を開けれています。

時代は、変遷していくんです。我々も怠りなく、研究開発を進めてまいりましょう。